派遣の登録者が集まらない原因と対処法|人気サービスに共通する特徴は?

人材派遣業界では現在、他業界の課題と同じく、有効求人倍率が高いために応募企業数に比べて求職者が少なく、派遣の応募がない・登録者が集まらないという課題に直面しています。
しかし、その原因は本当に世の中の流れによるものだけなのでしょうか?

本記事では、人材派遣業界の現状と登録者が集まらない原因、そしてその対処法について考察していきます。

目次

人材派遣業界のいま

”人材業界は追い風”とよく言われていますが、人材派遣会社にとって近年の状況はどのように映っているのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。

人材派遣会社の現状

2020年、新型コロナウイルスの影響で派遣労働者の数は全体的に減少しました。
しかし、コロナ禍であっても2021年の中盤からは再び増加傾向を示し、コロナ禍が明けた現在は、コロナ前のように人材業界全体が回復しつつあります

社会的制限が緩和され経済活動が活発化するにつれ、企業は更なる労働力を必要とし、それに伴って派遣労働を求める企業が増えました

近年の人材派遣会社の需要は高まっていますが、人材派遣会社にとって、求人を必要とする企業の数と求職者の数のバランスがとても大事です。
まずはどのように人材業界が成り立ち、変化しているのかを見てみましょう。

人材派遣会社の課題

人材業界の現状は、前述の通り、採用活動を積極的に行う企業の数が求職者の数を上回るほどに多く存在し、求職者にとっては自分に合った会社選びを行いやすくなっています。
しかしその反面、あらゆる業界で人手不足の問題が発生し、自社で求人を出す以外に、人材派遣などを利用する企業も多くなっています。

では、人材業界全体での売り上げは上がりやすい中、利益の方面で見ると現状はどのようになっているのでしょうか?

人材派遣や業務請負は売上高が膨らみやすいものの、経費にスタッフ賃金が含まれるため利幅は薄くなる。(中略)業界全体に追い風が吹くのは間違いないが、新旧・大小のプレイヤーが入り乱れ競争は激しい。(中略)アルバイト領域でも即日・単発の「スキマバイト」が一般化した。

引用元:会社四季報 業界地図2024年版

このように、人材派遣という業務形態は利幅が少なくなりがちで、多くの企業が募集していたとしても、求職者と企業をうまく結びつけられないと、利益を得るのが難しいことがわかります。

また、『リクルート』などの大きな企業は派遣登録する求職者集めにあまり苦労しないイメージがあると思います。
しかしそれは人材派遣だけでなく、他の人材事業を行っていくうえで利益を得て、さらなる投資することで認知が高くなっているからだと考えることもできますので、人材派遣だけを行っている多くの企業間での競争はかなり激しいものだと考えられます。

また、人材派遣の業態自体も変化していて、以前のように「正社員」「アルバイト」など一定期間の雇用に関するもの以外に、即日で働いてくれる人材を確保するのための『タイミー』や『ネクストレベル』のようなサービスも増えています。

これらを総合すると、いかに多様化する働き方に対応しながら、求職者をより多く集められるかが、人材派遣会社の課題であると考えられます。

派遣登録スタッフが集まらない理由

求職者の数が少ないことが、派遣登録スタッフを集めるのに障壁となっていることを示しました。
しかし、それ以外にも派遣登録スタッフを集める方法はあるはずです。

では、派遣登録スタッフが集まらない理由として他に考えられるものはどういったものがあるのでしょうか?

求人広告での差別化ができていない

人材派遣会社は、求職者を集めるためにまず、求人広告の媒体を使って求職者に接触を図ります
その際の求人広告の作り方において、自社で求人を出している企業も多く存在する求人媒体上での差別化ができていないと、求職者集客ができない上に、求人情報すらも求職者に目を通してもらえない可能性が出てきます。

具体的にはどのような点で差別化が必要なのでしょうか?

人材派遣だからこその魅力を伝えられていない

人材派遣は、一時的な仕事やプロジェクトのために求められる雇用形態で、期間限定の仕事が多く存在します。
特にフルタイムでの勤務の場合、残業時間の制約が厳しかったり、企業に所属する正社員と違って期間限定での採用となったりするため、そこにメリットを感じて登録する人が多くいます。

しかし、求人広告を作成するとなると、雇用の条件面(給与や福利厚生など)が大きく表示されることが多く、企業の正社員に比べて給与や福利厚生などの待遇面で劣ることが多い人材派遣では、ターゲットへの効果的な訴求がどうしても難しくなります
条件面のみでの訴求ではなく、しっかりと”人材派遣だからこその魅力”を求人広告に掲載しているかどうかで、他の求人広告との差別化を図れるでしょう。

掲載情報の不足

求職者が派遣会社に登録を検討する際に重視するのは、どの企業でどんな条件で働けるかです。
また、その中でも多様な働き方を反映した労働条件が大切です。

例えば、子育てや介護、副業と両立可能な条件かどうかや、自分の理想のライフワークバランスが実現できるかどうかが重視されます。そのため、求職者のライフスタイルや働き方の希望とマッチする労働条件を提供することが求められるのです。

しかし、人材派遣会社が広告を出す以上、派遣先となる企業の詳しい情報を掲載することがどうしても難しくなってしまいます
会社の雰囲気や実際に働く人のことまではわからないからです。
これは、人材派遣会社側の営業や広告担当の工夫によって変わってくると思いますが、いかに多くの求職者を集められるかは、いかに多くの情報を掲載できるかがカギになりますので、それを踏まえたうえでの掲載情報の整理が必要だと考えられます。

他の派遣会社との差別化ができていない

多くの派遣会社が他社との違いをはっきり示していないため、求職者はどの会社を選べば良いか混乱してしまいます

例えば、特定の職種に特化した人材を集める戦略や、派遣スタッフのパフォーマンスに応じて報酬を増やすなどの独自の特徴を打ち出すことで、自社の魅力を高めることができます。

自社の特色や独自性を打ち出さなければ、求職者から選ばれることはありません。では一体どのように他社との差別化を図ればいいのでしょうか?

求職者に求められる派遣先の数での勝負

派遣登録スタッフが離職する理由の一つは、希望する派遣先が見つからないことです。
この問題は、派遣スタッフが自身のキャリア目標や働きたい業界、希望する労働条件に合致する派遣先を見つけられないときに発生します。

見つからなければその派遣会社に登録するメリットが減り、離脱しやすくなります。
登録者は、自身のキャリア成長や働きやすさを重視するため、希望する派遣先が見つからないと、その派遣会社に対する満足度が低下してしまいます。

しかし、求職者が求めているのはただ単に求人数が多いことでしょうか? 
派遣登録スタッフが必要とする求人情報は、自分に合った企業の求人のはずです。
そうなると「この派遣会社だと働きたいと思える企業が多くあるなあ」と求職者が感じることが大切だということがわかります。

登録者の満足度を高め、長期的な関係を築くことが可能となるように、取り扱う求人を限定的にするなど、あえてターゲットに刺さるような求人を扱うことで、求職者に魅力を訴求することが大切だと考えられます。

スタッフと担当者との連携がうまくいっていない

派遣登録スタッフが離職する理由の一つとして、派遣会社側の担当者との人間関係も挙げられます。
中堅派遣会社の社員が行う業務は多岐にわたり、人材の確保から面接、派遣後のフォローアップまで、一貫したサービスを提供するためには、非常に高いスキルと経験が求められます。

しかし、業務が忙しい中で派遣登録スタッフへの対応がおろそかになってしまうと、担当者に対する不満が募り、結果として派遣登録スタッフが離職する可能性が高まります。
そのため、派遣会社は登録スタッフとの良好な連携を維持し、彼らのニーズに応じたサービスを提供することに注力する必要があります。

Webでの集客におけるマーケティング不足

人材派遣業界は競争が激しく、他の人材派遣会社との競争の中で必要な派遣登録スタッフを採用するため、ターゲットにあわせた戦略的なマーケティングが必要です。
派遣先の魅力を登録者や求職者に伝えたり、派遣会社自身の魅力を求職者に訴求することで、他社との差別化を図ります

派遣会社が派遣先だけを重視せず、派遣登録を考えている求職者に目を向けていくことで、より多くの求職者を集め、結果的に顧客となる派遣先によりよい人材を提供できるのです。

現代はインターネットが普及しています。そのインターネットをうまく活用することで、求職者を惹きつけたり、派遣登録者との関係を深めたりすることが可能です。「この派遣会社で働いてよかった」と思ってもらうための、登録者への継続的なアプローチが何よりも重要です。

派遣登録スタッフを集める方法

ここまで、人材派遣登録スタッフが増えない原因について見ていきました。
それをもとに、どのようなことに注意すれば派遣登録スタッフを集めることができるのかについて見ていきます。

魅力が伝わる求人原稿を作る

登録スタッフを集める際、必ずと言ってもいいほど利用するのが求人広告
この求人広告を掲載する際に、媒体選びと原稿内容は求職者にアピールするための重要な要素です。

自社に合った求人広告を作るには、どう考えればいいのでしょうか?

適切な求人媒体を選ぶ

求人媒体を選ぶ前に、まずは自社の求める人物像について整理していきましょう。

  • 何歳くらいで、どんな働き方を望んでいる人なのか?
  • どのようなスキルを持っている人なのか?

この2点を整理するだけでも、どんな人を求めていて、どんな媒体選びをすればいいのかが見えてきます

特定の専門スキルを持つ人材を募集する場合、その専門分野の求人サイトを利用するでしょう。
また、主婦層を対象とする場合、求人サイトだけを活用するのではなく、求人情報誌や求人折込チラシを利用することも検討範囲に入るかと思います。

Web求人媒体だけでなく、求人情報誌、求人折込チラシ、ソーシャルメディア、リスティング広告など戦略的に広報手段を選び、集客活動を行いましょう

求人広告の原稿作りの考え方

求人広告が求職者にとって果たして魅力的に伝わっているのか?を検証していくことが大切です。

単に派遣元・派遣先の情報や応募条件を書いても、応募するメリットが伝わらず、古い情報を更新せずに掲載していると、求職者が求人情報と現状が違うと感じ、応募をやめるかもしれません。
求人広告の原稿内では、必要な情報と求める人材の条件を明確に書くことが重要です。業務内容は、箇条書きでわかりやすく書くと良いでしょう。

さらに、自社と他社の違いを強調しましょう。
ただ魅力をリストアップするだけでなく、自社の派遣スタッフにインタビューをして、その内容を質問と回答の形で紹介するなど、独自の内容が伝わるような工夫をしてみてはいかがでしょうか? 
インタビューは客観的な意見を提供するため、多くの応募者が参考にします。

担当者のスキルアップを目指す

派遣会社の担当者は、派遣スタッフと派遣先を適切に結びつける重要な役割を担います。
スタッフと企業の要望を理解し、良い労働条件を作り出し、派遣がうまく行くようにサポートすることで、スタッフからの信頼を得られます。

これがよくある派遣のバックレを防ぎ「この会社に長く登録していたい」と思わせる要因になります。
担当者のスキルアップとは、具体的にどんなものがあるのでしょうか?

派遣先を増やす

多くの人がさまざまな理由で派遣社員になります。その理由や目標に合った働き方を実現するためにも、登録スタッフはどの企業でどんな環境で働けるかを詳しく知りたいと思っています。

登録スタッフが満足して働けるよう、派遣先を常に増やし続け、新しい情報を入れ続けることが重要です。
また、派遣社員が継続的に仕事を見つけられるようにサポートすることで、長く留まってくれる派遣社員がいることが派遣会社の強みとなります。

派遣社員として働く魅力をより感じてもらえるようにする

派遣の働き方は自分のスケジュールに合わせて働ける点や、さまざまな職場を経験できる点が魅力です。
派遣登録をしている人は、これをメリットと感じて登録していることでしょう。
また、派遣業界のルールや人材派遣会社の役割など、初めて派遣で働く人には知らないことも多いはずです。

メリットと感じていることをさらに強調できるような施策や、知らないであろう情報もプラスの表現を使ってしっかりと伝えてみましょう。
そうすることで、派遣の働き方の魅力を最大限に引き出すことができ、より「ここで登録し続けたい」と思ってもらえるような工夫ができます。

マーケティング方法を考える

SNSの活用

求職者の応募を増やすために、派遣会社はSNSの利用を検討するのもいいでしょう。
現在、多くの人がスマートフォンやパソコンを使ってSNSから情報を得ています。
この傾向は求人情報にも当てはまり、SNSを使った採用活動、いわゆる「ソーシャルリクルーティング」が注目を集めています。

SNSでは、企業アカウントから求職者にとって有用な情報を発信することができます。
各SNSによって利用者層は異なるため、目指す対象者に適したSNSを選ぶことが大切です。

広範囲に情報を拡散できるSNSでは、「バズ」を利用して情報を一気に広めることも可能です。
ただし、それは一時的な効果ですので、定期的に有益な情報提供を行うことがSNSを利用する上で最も重要です。
ぜひ活用してみてください。

リスティング広告の活用

リスティング広告とは、検索エンジン(Googleなど)でユーザーが検索したキーワードを元に、検索結果画面に掲載されるテキスト形式の広告のことを言います。
自社のウェブサイトやLP(ランディングページ)などを作成し、それをリスティング広告で打ち出すことで、Web上での露出度を上げることが可能です。

また、リスティング広告の効果を最大限に引き出すためには、広告をクリックした後に見てもらうページの質も大切です。
派遣で働くメリットや競合との差別化部分などをわかりやすく提示し、興味を引くページを作ることで、派遣登録をするメリットを感じてもらえるようにしましょう

自社メディアの活用


求人広告の限られたスペースだけでは、求職者に「どのような人材を求めているのか」を明確に伝えることが難しいことがあります。
これを解決するために、自社の求人サイトを作成し、求人広告にリンクさせたり、求職者が知りたい情報を求人サイト内に集約したりしてみましょう。
これにより、派遣会社と求職者がより良く理解し合い、採用後のトラブルを防いだり、より「ここで働き続けたい」と思ってもらうことができます。

弊社では、自社求人サイトを構築できるサービスを展開しています。
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まとめ

人材派遣業界の現状と登録者が集まらない原因、そしてその対処法について考察していきました。

有効求人倍率が高い今の世の中、人材獲得を課題としている派遣会社は多いでしょう。
しかし、アピールする方法も多様化しており、あらゆる方法で求職者に知ってもらう機会を創出することで、優秀な人材を確保することも可能になっています。

自社に合った訴求方法を研究し、よりよい派遣運営となることを祈っています。

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この記事を書いた人

ただシステムを作るだけではなく『売れる仕組み』を創る!
東京・大阪を拠点に20年、システム開発やWEB制作を行っています。
従来のシステム開発だけでなくレベニューシェアでの開発も承っておりますので、サイトやアプリをリリースした後も追加料金や仕様変更でかかるコストは抑えたい、リソース不足で管理や運用ができない、ビジネスのことを相談できるパートナーがいない…という企業様はお気軽にご相談ください!

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