新聞の求人折込チラシは閲覧されるのか? ネット対応を進める理由

求人募集をする際、企業はさまざまな広告手法を検討します。その中でも、新聞の求人折込チラシは古くから使われてきた方法です。
しかし、現代のテクノロジーの進歩により、インターネットを活用した求人広告が主流になりました。

では、新聞の求人折込チラシはまだ有効なのでしょうか? 
本記事では、求人折込チラシとネット求人の比較を通じて、ネット対応を進めるべきなのかどうかを探っていきます。

目次

求人折込チラシの現状

新聞に折り込まれているチラシの数々。その中に「求人チラシ」が存在します。

新聞に折り込まれている求人チラシにはどんな効果があり、現在どのように活用されているのかについて詳しく見ていきます。

求人折込チラシのはじまり

日本では歴史的には新聞広告上の求人広告が端緒で、1970年代までは主に中途正社員を募集する目的で利用されることが多かった。

1980年代に入ると、アルバイト・パートなどの非正規雇用形態の求人情報が増加したため、募集地域を限定的に募集できる新聞チラシによる求人広告が増加。

引用元:wikipedia

新聞折込による求人広告は、引用の通り1970年~1980年代にかなり活発に活用されており、求人広告を掲載するメインの手段でした。
当時の新聞購読率は非常に高く、1980年の日本全体の世帯数が36,015,026世帯であるのに対し、新聞発行部数が4500万部ほど。
世帯数よりも多いことから、もちろんコンビニや商店などで購入する分も含まれていますが、1世帯で複数の新聞を購読している家庭もあったと考えられます。

引用元:Yahoo!ニュース

当時は新聞購読率が高かったため、新聞に折り込まれたチラシの効果はかなりあったと見込めますし、そこに参入しようとする企業が多かったことも想像できますね。

求人折込チラシの現在

では、現在の求人折込市場はどうなっているでしょうか?

前述のグラフを見てみると、新聞発行部数は2023年時点で3,000万部に満たず、世帯数は2020年時点で55,830,154世帯世帯数は増えているのに対し、新聞発行部数は大幅に減少しており、新聞購読率がかなり落ちていることが伺えます。
これだけ見ても、新聞折込チラシの効果が薄れていることは、言うまでもありませんね。

しかし、ネットが普及した現在は新聞折込チラシの発行がなくなっているかといえば、今も継続して発行されているのが現状です。
関西だけでも、アイデムやユメックス、ディースターなどさまざまな求人折込チラシのブランドが存在します。その理由は、新聞折込チラシの訴求対象にありました。

ユメックスは2023年3月26日に新聞折込チラシのサービスを終了

求人折込チラシの得意分野

新聞の求人折込チラシは、地域ごとに配布されるため、地元の人々に広告が届きやすいという利点があります。
また、新聞を読む人々は特定の年齢層や職業層に偏っていることが多く、求人広告のターゲットに合致しやすいと言えます。このデータをご覧ください。

新聞折込広告を見た割合(年代別)▼

引用元:読売IS

このグラフを見ると、60代以上の男女が新聞折込広告を日常的に見ていることがわかります。

また、このようなデータもあります。

新聞折込広告を見た割合(職業別)▼

引用元:読売IS

このグラフからもわかるように、自営の方だけでなく、主婦や無職の方も多く見ていることがわかります。

このことから、新聞求人折込チラシは主婦層や定年退職後のシニア世代をターゲットにするのが得意であると言えます。
また、新聞を購読する世帯であれば折込チラシを目にする機会があるということから、親から勧められて求人折込チラシを読む若者も、いないとは限りませんよね。
その若者は、勝手な想像ではありますが、親から勧められて読むくらいなので比較的真面目な方だとも推測できます。

ネット求人との比較

新聞の求人折込チラシとネット求人を3つの視点で比べてみましょう。

  • ターゲットとなる求職者の年代
  • ターゲットとなる求職者の地域
  • 求人広告の効果測定のしやすさ

ターゲットとなる求職者の年代

求人折込チラシは、前述した通り主婦層やシニア世代によく読まれる広告です。
そのため、女性であれば50代以上男性であれば60代以上を対象とした求人応募を募るのであれば、比較的効果が出やすいと考えられます。
また、この層だけをターゲットとするメリットは薄いですが、50代の親を持つ子世代として、10~20代も対象として視野に入れるのも悪くないのではないでしょうか。

対してネット求人は、新聞をあまり目にしないような世代が多く利用していると考えられます。
高校生~若者、ミドル世代(30~50代)を中心に、近年ではシニア世代でもスマホを使いこなしている人が多く見られるため、ほとんどの世代が訴求対象となることがわかります。

ターゲットとなる求職者の地域

では、地域別に見てみましょう。各都道府県の折込チラシの配布数と世帯数を比べてみました。

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都道府県折込チラシ配布数(2023年5月時点)世帯数(2020年時点)チラシ配布割合
北海道1,320,7072,476,84653.3%
青森県402,690511,52678.7%
茨城県685,6001,184,13357.9%
福井県250,980291,66286.0%
滋賀県330,700571,37457.9%
島根県220,260269,89281.6%
熊本県315,280719,15443.8%
東京都2,234,7007,227,18030.9%
大阪府1,853,9504,135,87944.8%
福岡県935,4902,323,32540.3%

参考:折込チラシ配布数世帯数

これを見ると、都市部はそれほど多くないようですが、地方では比較的多くの世帯が新聞折込チラシを手にする機会が多いということがわかります。
この表で見ると青森県や福井県、島根県の折込チラシ普及率は特に多いことがわかります。

それほど、地方ではまだまだ折込チラシによる効果が見込めるということがわかります。
そのため、求人折込チラシでの訴求に向いているのは、地方内での求人情報ということになります。
「地元で就職したい」「家の近くで働きたい」といった方にとっては、有益な情報源として重宝されるでしょう。

対して、ネット求人は全国どこからでも見ることができるのが最大の特徴です。
大阪にいても東京の求人情報を見ることができるため、遠方からの求人応募が可能となります。
その点でいうと、転職活動など、求職者の活動範囲が比較的広い場合に効果的です。
「上京したい」、「都会で働きたい」といった方にとっては、大変有益な情報源であると言えます。

求人広告の効果測定のしやすさ

では、せっかく求人広告を出すのですから、効果測定のしやすさについても見ておきたいところですね。

折込求人チラシの場合は、はっきり申し上げて、広告の効果測定はかなりしにくいものです。
媒体が紙である以上、どのくらいの人がその紙面を見てくれたのかや、そこから何人の人が問い合わせをしてくれたのかは、特に近年、はっきり測定しづらくなっています。

理由は、折込求人チラシとネット求人のセット販売です。
ほとんどの折込求人広告を販売する会社は、紙面での広告出稿とネットでの広告出稿をセットで販売しており、折込求人チラシとネット求人のどちらにも掲載されるため、”チラシのみを見て求人応募した人”を見分けることはほぼ不可能です。

対してネット求人は、掲載料金の支払い方法によって効果の出やすさをはっきりと知ることができる方法があります。
それは「クリック課金型」のネット求人広告です。
クリック課金とは、求人広告が気になってクリックした人の数だけ掲載料金が加算されていくしくみで、どれくらいの人に見てもらえて、どのくらいの人にクリックしてもらえて、どのくらいの人に応募まで進んでもらったのかがはっきりとわかる掲載方法です。

ちなみに、掲載料金についてはこちらの記事でも紹介しているので、興味があればご覧くださいね。

掲載料金の比較

では、掲載料金の比較をしてみましょう。

求人折込チラシの広告料金

求人折込チラシの料金は、配布地域・掲載サイズによって異なってきます。関西地域の求人折込チラシ会社で比較してみましょう。

関西地域での掲載料金はこの通りです。

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しごと情報アイデムディースターCLEAR
最小サイズ17,000円(58mm×45mm)21,000円(53mm×58.5mm)
最大サイズ256,000円(238mm×186mm)276,000円(221mm×243mm)
※すべて税抜・2024年8月現在の料金表です

参考:しごと情報アイデムディースターCLEAR

ネット求人の広告料金

一方、ネット求人の場合は料金体系が広告会社によりさまざまです。同じように比較してみましょう。

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イーアイデムディースターNET
最小価格1週間・30,000円2週間・30,000円
最大価格4週間・625,000円(プレミアムプラン)4週間・200,000円(ゴールドプラン)
※すべて税抜・2024年8月現在の料金表です

また、『タウンワークオンライン』では一律料金制度を導入していて、大阪からの掲載であれば2週間で17,000円、4週間で 29,000円での利用ができ、他社との差別化にはオプション機能で料金を追加していくシステムのようです。

参考:イーアイデムディースターNETタウンワークオンライン


このように、折込チラシだからとか、ネット求人だからという理由で価格の高い・安いは判断できないのですが、広告会社や掲載内容によってかなり料金体系に幅があるということが言えます。

応募者の質の比較

では、新聞の求人折込チラシで応募した求職者と、ネット求人を通じて応募した求職者の質を想像してみましょう。

求人折込チラシの求職者

新聞の求人折込チラシは、地域の人々に広告が届くため、地元の求職者からの応募が期待できます。
「家の近くで仕事がしたい」や「地方なので車通勤できるところで働きたい」など、通勤の利便性から働きたいと考える求職者が多くいると考えられます。

それに対して、応募方法が電話やメールなどになってしまうため、応募者の志望度がどのくらい高いかを応募段階で判断することは難しいと言えます。

ネット求人の求職者

一方、ネット求人では、より幅広い地域の求職者にアプローチすることができます。
また、求人サイトにより異なりますが、応募段階で応募者のスキルや経歴を把握することができるので、志望度の高さや、求職者と企業のマッチング度をある程度測れるという利点もあります。

しかし、応募のしやすさや、ネット求人の求職者側の利点である”複数応募機能”によって、応募してもらえたけど連絡がつかなかったり、面接に来ないといった事象も発生しやすいです。

このように、訴求できるターゲットが違うので、募集内容や企業によって「求人折込チラシ」を利用するのか「ネット求人」を利用するのか「両方利用する」という選択肢を取るのかが変わってきます。

求人広告のネット対応はすすめるべきか

以上の比較を踏まえると、どのような選択をするのかは企業や募集内容、どんな人を採用したいかによって変わってくると言えます。
しかし、どちらも利用することで、メリットを最大化することも可能ですので、オフラインでの採用活動も進めつつ、それらのネット対応を進めていくことで、より多くの求職者にアプローチすることが可能になるでしょう。

求人広告のネット対応を進めることで、広範な求職者にアプローチでき、リアルタイムのデータ分析や効果的な広告ターゲティングなどのメリットが得られます。
また、ITリテラシーの低い人々に対しても、応募のしやすさやネットからのサポート体制を整えることで、より多くの求職者を獲得することができる可能性がありますね。

まとめ

新聞での求人折込チラシと、ネット求人を比較して、どのように採用活動を進めていくべきかについて解説しました。

両方にメリットとデメリットがあり、企業がどのような人を採用したいかによって、求人媒体選びをすることが重要だということがわかりましたね。
オフラインとオンラインの両方を使って求人情報を発信することで、より多くの方へのアプローチができます。

弊社では、求人サイト構築をはじめ、オンラインでの採用活動の支援を行っています。
求人サイトを自社で持っておくと、内容の更新が即座に行えて大変便利なので、人材派遣会社や人材紹介会社など、多くの求人情報を抱えている企業にとっては導入メリットが大きいと言えます。
ぜひ、お気軽にご相談くださいね!

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この記事を書いた人

ただシステムを作るだけではなく『売れる仕組み』を創る!
東京・大阪を拠点に20年、システム開発やWEB制作を行っています。
従来のシステム開発だけでなくレベニューシェアでの開発も承っておりますので、サイトやアプリをリリースした後も追加料金や仕様変更でかかるコストは抑えたい、リソース不足で管理や運用ができない、ビジネスのことを相談できるパートナーがいない…という企業様はお気軽にご相談ください!

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